伊東家について
有職御人形司 伊東久重
伊東家は江戸時代初期より「桝屋庄五郎」の屋号で薬種商を営む家筋でしたが、江戸時代中期の享保年間(1716~35)手先が器用で人形作りの才に秀でた当時の当主が家業を人形制作としました。庄五郎は人形師としての道を本格的に歩むために「御人形細工師」を名乗り、享保十一年(1726)にはその腕を見込まれ、祇園祭長刀鉾の守護神である「和泉小次郎親衡」像を制作しています。また病除けの願いを込め、薬草を刈る子供の姿をうつした「草刈童子」を作り、家の守り神としました。これが伊東家の人形師としての起源です
その後、御所人形の研鑽を重ねた三代目庄五郎は、明和四年(1767)に後桜町天皇より宮中御用を許され「有職御人形司 伊東久重」の名を賜りました。
以後、代々の者が人形制作に励み、寛政二年(1790)には、光格天皇より「入神の作に捺すように」と天皇家の御紋である「十六葉菊花紋印」を拝領しました。 以来、伊東家は代々が御所人形師として「久重」の名を継承、天皇家に認められた「入神の技」は当代十二世となった現在も大切に受け継がれています。
主な収蔵先と修復先
皇居 東宮御所 秋篠宮家 常陸宮家 三笠宮家 高円宮家 京都御所 京都迎賓館 京都国立博物館 京都府立総合資料館 国立歴史民俗博物館 奈良国立文化財研究所飛鳥資料館 三重県立伊勢斎宮博物館 京都大学国際交流会館 本山佛光寺 善光寺大本願 東京本願寺 大聖寺門跡 宝鏡寺門跡 曇華院門跡 霊鑑寺門跡 林丘寺門跡 法華寺門跡 大雲院 叡山正教坊 柳谷楊谷寺 鞍馬寺 本性寺 平安神宮 わら天満宮 伏見神神社 諏訪懐古神社 徳川宗家(徳川記念財団) 一橋徳川家 (茨城県立歴史資料館) 薩摩島津家(尚古集成館) 加賀前田家(金沢成巽閣) 肥前松浦家(松浦資料博物館) 水戸博物館 冷泉家時雨亭文庫 京都二条城 姫路城 関門海峡ミュージアム 秦荘町歴史資料館 桐丘学園 小倉学園 鴻池グラナリー 横浜人形の家 祇園祭長刀鉾 祇園祭月鉾 祇園祭函谷鉾 祇園祭南観音山 大津祭 天神祭 亀岡祭 丹波祭 高山祭 名古屋祭 川越祭 津島祭 高岡祭 江差祭 松前祭 栃木祭 八尾祭 村上大祭 潮来祭 八幡祭 米国ジョージア州アトランタ市美術館 (順不同/敬称略)
十二世伊東久重氏 略歴
1944年 有職御人形司伊東家長男として生まれる
1968年 同志社大学 文学部卒業
1978年 十二世伊東久重を継承
1985年 「伊東久重御所人形の世界」展
国際科学技術博覧会・日本歴史館(筑波研究学園都市)にて
2000年 「十二世伊東久重御所人形の世界」展
京都 美術館「えきKYOTO」にて(京都新聞社 主催)
2000年 「十二世伊東久重御所人形の世界」展
静岡 紺文美術館にて(静岡朝日テレビ主催)
2004年 「The World of the 12th HISASHIGE ITOH’s GOSHO-NINGYO」展
オーストリア・ウィーンにて
2005年 「十二世伊東久重御所人形の世界」展
福岡 海峡ドラマシップにて(北九州市 主催)
2009年 「宮廷の雅 伊東久重御所人形の世界」展
滋賀 佐川美術館にて
2010年 「十二世伊東久重」展
京都 北村美術館四君子苑にて
2018年 日西外交関係樹立150周年記念「EXPOSICIÓN DE MUÑECAS DE PALACIO DEL MAESTRO HISASHIGE ITO XI」展
スペイン・マドリードにて(桝屋金田 主催)
その他、東京、京都の著名店舗、百貨店等にて個展を開催